一夜二人転 獅子堂奈乃と八十方織間の場合


PC1:“リカオンズNo.2 / テイルバイト”八十方 織間(やそかた おりま)(キャラシート)PL:馴染
PC2:“シャーデンフロイデ”獅子堂 奈乃(ししどう なの)(キャラシート)PL:すきゃっと
GM:雷鳥

メインログ雑談ログ

目次

プリプレイ

GM:一夜二人転 獅子堂奈乃と八十方織間の場合
GM:始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
GM:では自己紹介から!
八十方織間:PC1の枠にいるので私から行きましょう。さらっとね。
八十方織間http://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYu-GewwIM
八十方織間:大N市第六支部所属のUGNチルドレン、八十方織間です。
八十方織間:真面目で四角四面な風紀委員型。なんですが、本人の精神はそこまで仕上がっていないので、任務中はともかくプライベートだと揺さぶられたり全然気が回らなかったりと
八十方織間:残念な所も多いタイプです。異性にモテそうにない(堅苦しいので敬遠されがちな)のもこっそり気にしているぞ。
獅子堂奈乃:お可愛いですねえ
八十方織間:特に獅子堂という後輩には好き放題されっぱなしだと思っています。
八十方織間:ほらこういう所!
八十方織間:今回もなし崩し的に二人で海に行く約束をしてそれを果たしに参りましたが、こんなに時間を割いて俺をからかっているのか? 何か他に目的でもあるのか……?
八十方織間:と内心では思っていることです。
八十方織間:あ、性能的には走って殴って殴られたら殴り返して味方の行動にも反応して殴るとにかく殴る型です。
八十方織間:こんなとこですね! よろしくお願いしまーす。
GM:よろしくお願いいたします。次!
獅子堂奈乃:では僭越ながら
獅子堂奈乃http://character-sheets.appspot.com/dx3/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYkKriyQIM
獅子堂奈乃:大N市第六支部所属のUGNチルドレン、獅子堂奈乃です。
獅子堂奈乃:任務上は優秀なチルドレンですが、皮肉屋で悪戯好きな性格。
獅子堂奈乃:特に真面目な人(をからかうの)が好きです。
獅子堂奈乃:同じ第六支部の八十方先輩には公私ともにお世話になっております。
獅子堂奈乃:今回は海に行くそうです。二人で海に行くのはデートですね。とても楽しみです。
八十方織間:デート……(心拍数の上昇により内部から爆発しそうになる)
獅子堂奈乃:楽しみですねえ
GM:ありがとうございます。
獅子堂奈乃:Dロイス対抗種を所持しているため、肌、特に素手の触れ合いを避けており、常に手袋を身に着けています。
獅子堂奈乃:性能的にはどこから殴られても反撃します。
獅子堂奈乃:そういう感じです。今日はよろしくお願いします。
GM:よろしくお願いいたします。
GM:ではOPから!

OP1


八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+5(1d10->5)(侵蝕率:40->45)
八十方織間
八十方織間:気温、32度。天候、晴れ。
八十方織間:先日の約束に基づき双方の休暇を合わせることのできたその日は、9月にして今年最後の夏日ともなる日だった。
八十方織間:待ち合わせは駅前のモニュメントにて。八十方はきわめて慎重に平静を装い、
八十方織間:いつも通りの5分前行動でその場所に参じた所である。待ち合わせの相手はいなかった。
八十方織間:「…………」
八十方織間:夏のような日差しの下、人々の行き交う中、己を落ち着かせるように腕を組む。
八十方織間:(海……)
八十方織間:(デート……)
八十方織間:(水着……)
八十方織間:(獅子堂の……)
八十方織間:……額に汗を滲ませ、ただでさえ目つきの悪い眼をより一層鋭くして、中空を睨み、自身の心を平静に保とうとしている。
獅子堂奈乃:だが5分が経ち、約束の時刻となっても、獅子堂は姿を見せない。
八十方織間:「…………」
八十方織間:3分程度の超過は気にならない。5分を過ぎればどこか落ち着かなくなる。
八十方織間:10分を過ぎた所で端末を手に取った。獅子堂にLINEを送る。
八十方織間:『何かあったか?』
獅子堂奈乃:そのメッセージに、音声通話が返ってくる。
獅子堂奈乃:『ああ、先輩。今どちらですか?』
八十方織間:「もしもし」 出る。声は常通りの平静だ
八十方織間:「駅前だ。約束した通りの。獅子堂は?」
獅子堂奈乃:『ええ、よく見えておりますよ』
獅子堂奈乃:『私も駅前です。上を見てください』
八十方織間:言われた通り、上方へ視線を送る
獅子堂奈乃:広場を挟んだ向かい側。
獅子堂奈乃:駅前広場を見下ろす形の喫茶店、窓際の席で、誰かがひらひら手を振っているのが辛うじて見て取れるはずです。
八十方織間:目を細めてそれを認め
八十方織間:「……獅子堂」
八十方織間:「これは遅刻にカウントするか?」
獅子堂奈乃:『そういう事でよろしいですよ。約束の20分前からいましたが』
獅子堂奈乃:『今そちらに行きますね』
獅子堂奈乃:程なくして、店を出て歩いてくる。
八十方織間:やれやれと首を振って、それを出迎える
獅子堂奈乃:オフショルダーワンピースに鍔の広い大きな帽子の、涼し気な装い。
獅子堂奈乃:「お待たせしました」にっこり笑い、
獅子堂奈乃:「暑かったでしょう。どうぞ」店でテイクアウトしたらしい、よく冷えたカフェオレを手渡す。
八十方織間:「20分前からいたというなら、一体何故……」 と、文句らしきものを言おうとしたが
八十方織間:見慣れぬその装いに、常はあまり露出していない肩口に意識を引かれ
八十方織間:「む」 飲み物まで渡されてしまえば、結局追及の手はうやむやにしてしまう
獅子堂奈乃:「申し訳ありません。どうしても見たいものがありまして」
八十方織間:カフェオレを飲みつつ 「見たいもの?」
獅子堂奈乃:「はい」頷き
獅子堂奈乃:「どうしても見たかったのです」
獅子堂奈乃:「先輩がこの暑い中、可愛い後輩を想いながら、額に汗を滲ませ、ただでさえ目つきの悪い眼をより一層鋭くして、中空を睨み、自身の心を平静に保とうとしている様子が……」
獅子堂奈乃:「どうしても」
八十方織間:「ゴフッ」
八十方織間:妙な飲み方をしたようで、カフェオレが気道に入り、軽くむせる
獅子堂奈乃:「おや。そんなに慌てて飲まずともよろしいのに」背中をさする。
八十方織間:ゴホゴホと軽く咳き込み、喉を整え 「……すまん。で、それは……」
八十方織間:見れたのか、見れなかったのか、と確かめそうになったが、思い直し
八十方織間:「……まあ、良い。何かあった等でなかったなら」
獅子堂奈乃:「ご心配してくださったのですか?」
八十方織間:「決めた待ち合わせに意味なく遅れる奴じゃないだろう」
八十方織間:「今日は意味があったようだが」 軽く溜息
獅子堂奈乃:「ええ、有意義でした」
獅子堂奈乃:「本当はもうしばらく見ていたかったのですが……先輩に日射病にでもなられては」
獅子堂奈乃:「せっかくのデートが台無しですからね」
八十方織間:「ンッ」
八十方織間:その単語を聞くと、またどこか据わりが悪そうにしつつ
八十方織間:「……まあ、これくらいで倒れるほど、ヤワではないが」
八十方織間:「心遣いには感謝しよう」 どうにか平静に返す
獅子堂奈乃:「二人きりで休日に海に行くなど、まるで男女の仲のようですねえ」
獅子堂奈乃:「先輩はどう思われますか?」
八十方織間:「…………」 後輩を見返して、乱暴に自分の頭を掻き
八十方織間:「……同僚で、先輩で、後輩だ」
八十方織間:「同じ部活の部員とかなら、高校生でも有り得る……」
八十方織間:「……有り得るんじゃないか?」 考えながら応える
獅子堂奈乃:「……では、先輩は」
獅子堂奈乃:「同じ支部の他の女の子に誘われても」
獅子堂奈乃:「こうして二人で海に行くわけですか?」
獅子堂奈乃:顔を寄せ、黒々とした瞳で覗き込む。
八十方織間:「いや、それは……」 気圧されるように軽く身を反らせ
八十方織間:「……ない……が……」
八十方織間:目をそらしつつ 「その……誘われることも……誘いに乗ることも」
獅子堂奈乃:「そうですか」満足気に笑って。
獅子堂奈乃:「良かったです。先輩が男女関係にだらしのないふしだらな軟派男でなくて」
獅子堂奈乃:「行きましょうか、先輩。そろそろ電車の時間です」
八十方織間:「……分かってるだろう、獅子堂。こと俺について、それだけはない」
八十方織間:「ああ。ちょうどそろそろだな。……」
八十方織間:もう一度後輩を見て
八十方織間:「……似合ってるな、その服」
八十方織間:「新鮮だ」 小声で言う
獅子堂奈乃:「……」
獅子堂奈乃:「……何も言われないものだから、失敗したかと思っていたところです」
八十方織間:「失敗じゃない。ただ、その……」
八十方織間:続く言葉を考えた末に、結局誤魔化して 「……色々あるんだ」 とだけ言い、荷物を持ち直す
八十方織間:「行こう」
獅子堂奈乃:「はい」機嫌よく頷き。

GM:シーンカット!ロイスと購入ができます。
獅子堂奈乃:八十方織間 〇先輩/不安
八十方織間:獅子堂奈乃/○後輩/不安
八十方織間:購入は……いいや なきゃ困るものもないし……
獅子堂奈乃:1DX+3>=12 ボデマ
DoubleCross : (1R10+3[10]>=12) → 4[4]+3 → 7 → 失敗

獅子堂奈乃:以上です。

ミドル1


獅子堂奈乃:獅子堂奈乃の侵蝕率を+10(1D10->10)した(侵蝕率:42->52)
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+8(1d10->8)(侵蝕率:45->53)
GM:電車を降りると、鼻をつくのは潮の香り。
GM:少し歩けば、濃くなって
GM:目の前に広がるのは、白い砂浜と透き通った海。
GM:日差しがまぶしく、海は余計にきらめいて見えるだろう。
八十方織間:(今日二度目だな……)
八十方織間:更衣室で手早く着替えを済ませた後、暑い日差しの下、後輩が来るのを待つ。
八十方織間:学校指定の水着しか持っていなかったので、店員に相談しつつ決めたサーフパンツに、パーカーを羽織っている。
八十方織間:パーカーは機械の身体が露見するリスクを低減するためのものだ。
獅子堂奈乃:不意に、後頭部に温かい──熱いものが触れる。
八十方織間:「!」 緊張していた所にそれなので、ビクッとする
八十方織間:そして振り返る 「獅子どっ……!」
獅子堂奈乃:背後に焼きそばのパックを持った獅子堂が立っている。
獅子堂奈乃:「済みましたか?設営」
獅子堂奈乃:水着……ではない。ショートパンツで白い脚は大きく露出しているが、上にはラッシュガードを羽織っている。
八十方織間:「……」 驚いた……様々な意味で予想外だった様子で目を瞬かせ
八十方織間:少しだけ足元を見て、目を閉じ、首を振る
八十方織間:「シートとパラソルは借りれた。場所は決めていない」
八十方織間:「相談した方が良いかと思った。元々準備されている所を使えば、チェアも使えるしな」
八十方織間:夏日ゆえ人は少なくないが、それでも9月。家族連れなどは夏休み期間に比べればよほど少ないだろう。
獅子堂奈乃:「そうですね。幸い空いているようですし」シーズンを過ぎた砂浜を眺めて。
獅子堂奈乃:「……」
獅子堂奈乃:「ちょっとがっかりしてます?先輩」
八十方織間:「な」
八十方織間:「何がだ」
獅子堂奈乃:「いえ……何だか」
獅子堂奈乃:「後輩の水着が見られるものだと緊張と共に期待して待っていたら肩透かしを喰らったかのような」
獅子堂奈乃:「そのようなお顔をしているように見えましたので」
八十方織間:「……ッ……」 息を呑むように口ごもり
八十方織間:「……別に……そんなつもりはないが……」
八十方織間:「……少しは、あったかも……しれないが」
獅子堂奈乃:「あは」
八十方織間:煮え切らない答えと共に、背を向ける 「で、どうする。俺はどこでもいいが」
獅子堂奈乃:「そんなにご心配せずとも、後でいくらでも見せてさしあげますよ」
獅子堂奈乃:「先輩の為に用意してきたのですから」
八十方織間:「っ……」
八十方織間:「……そう。そうか……」
八十方織間:頷きつつ、喉の渇きを誤魔化すために持参したスポーツドリンクを流し込んで
獅子堂奈乃:「あの辺りにしましょうか。私は早くこの、海の家のボソボソの焼きそばが食べたいです」
獅子堂奈乃:焼きそばを片手に、人気のまばらな辺りを指し示す。
八十方織間:「分かった。あまり食べ物を悪くいうな……」 諌める言葉にも、普段ほどの堅さはなく
八十方織間:ただ獅子堂が言った場所への設営は、言われた通りさっと完了させる。
八十方織間:シートを敷いて、きっちりと日陰を作る。手狭ではあるが、日陰に入ってしまえば風も意外と涼しい
獅子堂奈乃:「先輩は頼りになりますねえ」にこにこしながら設営の様子を見ている。
八十方織間:「こんなの、日頃の鍛錬に比べればな」
八十方織間:ふう、と息を吐き、シートに座り込む。パラソルを確かめるように揺らし 「大丈夫だ」
獅子堂奈乃:すぐ隣に座る。
獅子堂奈乃:「先輩も食べますか?」パックを開けつつ
八十方織間:「ああ。俺が食べても大丈夫な分量があるなら」
獅子堂奈乃:「はい。じゃあ、あーん」
獅子堂奈乃:割り箸を差し出す。
八十方織間:「あ」
八十方織間:「……?」 動揺した目で後輩を見る
八十方織間:「自分で、食べ……」
八十方織間:「……られるのだが……?」
獅子堂奈乃:「あーん」
八十方織間:「……」
八十方織間:ぶるりと震えるが、目を閉じて覚悟を決め
八十方織間:「あ、あー……」 恐る恐る口を開け、顔を寄せる
獅子堂奈乃:「はい」焼きそばを口に運んで、
獅子堂奈乃:「あっこれ麺類不向きですね……あはは!」せっせと箸を動かして口に突っ込む。
八十方織間:「もぐっ……おまっ、そっ、もも……!」
八十方織間:されるまま焼きそばを口へ流し込まれる
八十方織間:それでもこぼしたりはしない。食べ物がもったいないし、八十方の口は体格相応に大きく、よく食べるのだ
獅子堂奈乃:「あはは!先輩げっ歯類みたいになってますねえ。はい、お茶です」ペットボトルを手渡して。
獅子堂奈乃:自分も焼きそばを食べる。箸は一つしかないので同じもので。
八十方織間:「むぐっ……ぐっ……!」 抗議めいた声をだしつつ、しっかりと噛んで、飲み込み
獅子堂奈乃:「うん、美味しくも不味くもなくて、最高ですね」
八十方織間:四も五もなくお茶を飲んで、同じ箸で後輩が焼きそばを食べるのを見てまた目を見開いて
八十方織間:どうにかお茶を飲み込み、目を閉じて、一言
八十方織間:「忙しい……」
八十方織間:そして後輩を見る 「……最高なのか。美味くも不味くもないのに」
獅子堂奈乃:「こういう場所はこれがいいんですよ。分かりませんか?」
八十方織間:「分からん。こういう場所に来たことがないからな」
八十方織間:「……来るのか? 獅子堂は。よく」
獅子堂奈乃:「友人とは色々遊びに行ったりしますよ。この前も任務で海には来ましたし……」
獅子堂奈乃:「先輩はしないのですか?」
八十方織間:「ないな」 頷く 「仕事がなければ鍛錬だ。正直、そう遊びに行く相手というのもあまりいない」
八十方織間:「夏休みとなれば尚のことな」
獅子堂奈乃:「寂しい人ですねえ」
獅子堂奈乃:「私でよろしければ、こうしてお付き合いしますよ」
八十方織間:「実際、そういうことで今日ここに来た訳だからな」
八十方織間:「まあ、遊びになど行かなくても俺は大丈夫だ。働き詰めでストレスが溜まる、みたいな話は聞くが、正直あまり実感はない」
八十方織間:少し落ち着いた様子で足を伸ばす 「身体的疲労なら分かるんだが」
獅子堂奈乃:「……」また遊ぼうと誘っているのが分からないのか?という不満の視線を向けて。
獅子堂奈乃:「……そういえば、ここまで来てしまいましたが。泳げるのですか?先輩」
獅子堂奈乃:はたと気付いたように言う。
八十方織間:「腕のことなら大丈夫だ。高い水圧がかからなければ問題はない」
八十方織間:「そう言う獅子堂こそ、泳ぎはどうなんだ?」
獅子堂奈乃:「私もチルドレンですから。一通りの訓練は受けていますよ」
獅子堂奈乃:「確かめてみますか?」
八十方織間:「だな。喋りに来た訳ではない。水泳の訓練という訳でもないが……」
八十方織間:「入るか、そろそろ」 パーカーを脱ぎつつ
獅子堂奈乃:「そうですね」ラッシュガードに手を掛けたところで。
GM:焼きそばに気をとられていた二人は、ふと辺りが暗くなったのに気が付く。
GM:遠雷。ぽつ、ぽつと砂浜に水が落ちる。
獅子堂奈乃:「……おや」
八十方織間:「……」 空を見上げる
獅子堂奈乃:「雲行きが怪しいですね」
GM:それは勢いを増していき...
八十方織間:「一雨来そう……いや」
八十方織間:「来たな」
GM:ちょっとした豪雨になった。
GM:パラソルは小さく、もとより雨を防げるものではない。
GM:否応なしに、濡れてしまうだろう。
獅子堂奈乃:「ああ、ああ」荷物を辛うじてパラソルの下に避難させ、シートで包む。
獅子堂奈乃:「泳ぐどころではありませんね、これは」
八十方織間:「まったく間の悪い……」 空を見上げつつ
GM:雨と風の中、少年がふらふらと歩いているのが見えるだろう。
八十方織間:「だな。予報ではこんなことはなかったんだが、海と山の天気は変わりやすいとも聞く」
八十方織間:「一旦ちゃんと屋根のある所に避難を……ん?」
???:「あわわ...ど、どうしよ」
獅子堂奈乃:「すぐに止むでしょうか……」言って、その視線を追う。
八十方織間:「……何だ? 避難するでもなくふらふらと……」
???:「この...、いうこときいて...もう!」
八十方織間:立ち上がり、少年の元に向かいます 「なあ!」
???:「わっ」
???:「こ、こんにち...」
???:強面。少し怯えているようだ。
八十方織間:「どうかしたのか。ひどい雨だ。行くなら海の家の方にでも行ったほうが良い」
獅子堂奈乃:「何かお困りですか?」こちらも歩み寄る。
???:「あ、えっと...その...」
八十方織間:「こんなんじゃパラソルも役に立たないしな」
???:「ご、ごめんなさい!」
???:ぺち、手が体に置かれる。
獅子堂奈乃:「む」
???:ふっと、獅子堂の体に手が置かれると
???:ぐにゃり。少しの衝撃と共に、雨音が大きくなっていく。
???:「...お、収まったかな..」
???:「ごめんなさーい...!!」
???:たたた、と強くなる雨音とともに走り去っていってしまう。
八十方織間:「なっ」
八十方織間:「……何だ。鬼ごっこでもするつもりなのか?」 少年の背を見送る
GM:少年が去ると同時に、雨はやむ。
獅子堂奈乃:「……何だったのでしょう?」
GM:すると感じるだろう。
獅子堂奈乃:「先輩が脅かすからではないですか?そんなに怖い顔をして」
八十方織間:「雨も上がった……」 空を見て
GM:否応もなく、衝動が刺激されているのを。
八十方織間:「別に怖い顔などしてはいない。……素面がそうだと言われたら、それはどうしようもないが」
獅子堂奈乃:「……」心身の奥底で、何かがざわめくのを感じる。
八十方織間:「さて、どうする。ひとまず濡れた荷物を乾かせるようにして……」 気付かない
獅子堂奈乃:チルドレンとしての訓練で、抑制のすべは身に着けているが。それでも抗いがたい衝動が喚起されるのを感じる。
獅子堂奈乃:「……?」
獅子堂奈乃:「先輩。誰も≪ワーディング≫などしていないですよね」
八十方織間:「それから……こういう時はどうするべきか」
八十方織間:「……?」 思わず振り返る 「いや、その気配はないが」
獅子堂奈乃:「……何だか」居心地悪そうに「クロの。機嫌が悪くて」
獅子堂奈乃:「……というより……良すぎる……?」
八十方織間:「……クロの?」 それが後輩を守護するアバターの類であることは、よく知っている。彼女の後方のなにもない空間を見る
八十方織間:「どういう状態だ? ……と、聞いても分からないな。どうすれば良いとかはあるか」
八十方織間:「なければひとまず落ち着こう。……屋根がある所よりは、さっきの所の方が良いな」
八十方織間:設営したパラソルの下に戻り、シートを敷き直す 「多少汚れるが……」
獅子堂奈乃:「……そうですね。単に浮足立っているのかも。少し休めば収まるでしょう」
獅子堂奈乃:ずぶ濡れの衣服に目を落とし。「……ああ」
獅子堂奈乃:「これでは意味が無いですね。風邪を引いてしまいます」
獅子堂奈乃:言って、ラッシュガードのファスナーを下ろし、ショートパンツを下ろす。
八十方織間:「ああ、そうだ……」 「な」 彼女を振り返り、硬直する


獅子堂奈乃:白い肌と、小柄な体躯にはアンバランスにすら見える、女性的な起伏が露わになる。
獅子堂奈乃:ビキニタイプの黒の水着。いつも着けている手袋はそのままだ。
八十方織間:「…………」 視線が釘付けになる。事態の緩急に、感情がオーバーフローし、思考が動かない
獅子堂奈乃:「……先輩?」
獅子堂奈乃:黒髪と肢体は、先程の雨でしっとりと濡れている。
八十方織間:「……」 目を白黒されていたが、当人から呼ばれれば、さすがに思考が戻ってくる
獅子堂奈乃:「どうかしましたか……ああ」
八十方織間:「あ、ああ」
八十方織間:がくんと頷き、シートを広げる作業に戻る
獅子堂奈乃:「見惚れてしまいましたか?」
八十方織間:「…………」
八十方織間:沈黙である 何とも返せない
八十方織間:そこまで脳が追いついていないのだ
獅子堂奈乃:「先輩」身を寄せて。「何とか言ってくださいよ」
八十方織間:「っひゅ」 空気を呑む
八十方織間:「いや、まあ……そういう……」
八十方織間:「……そう呼ばれる現象が発生したという事実は否定できかねるというか……」
獅子堂奈乃:「先輩。先輩の為に用意してきたんですよ?」
獅子堂奈乃:手袋を先輩の太腿に這わせる。
獅子堂奈乃:「もっと何かあるんじゃないですか?」
八十方織間:ひぇ、とまた喉に空気が流れ込み、高い呼吸の音が漏れる
八十方織間:「なに、何か。何かと言われても、何……いや、待て、分かる、分かるから」
八十方織間:「似合っ……似合ってる。獅子堂。水着、よく似合ってる」
八十方織間:硬直したまま、そちらを振り返ることもできず 「とても似合ってる……似合ってる」
獅子堂奈乃:「……」じっと無言で圧を掛ける。獲物を前にした獣のような眼。
八十方織間:「……」 目を閉じて 「……本当、本当だ」
八十方織間:「黒……は、獅子堂らしいし……デザインも、その……水着らしく……あれだ……」
八十方織間:「とても……目を惹かれるというか……」
獅子堂奈乃:「可愛い」
獅子堂奈乃:「ですよね?」
八十方織間:「…………」
八十方織間:「……可愛い……」
八十方織間:「可愛い、な……獅子堂……」 声がどんどん小さくなる
獅子堂奈乃:「……あは」
獅子堂奈乃:半ば倒れ込むように身を預け、凭れかかる。
八十方織間:「ッ ッッ」 また目を見開く。今までにない距離感。彼女の身体の感触が伝わってくる……素肌同士で!
獅子堂奈乃:「……先輩。ひとつ」腕の中から上目遣いに見上げて。
獅子堂奈乃:「お願いがあるんですけど────」
獅子堂奈乃:言い掛けて、
獅子堂奈乃:「……」
獅子堂奈乃:不意に口を噤む。
八十方織間:「お、おおおお……」 もはや言葉を発せていない
獅子堂奈乃:「……いや、待ってください」
八十方織間:「おお……」
八十方織間:「…………」
獅子堂奈乃:身を離して眉間を抑える。
八十方織間:「……おお」
獅子堂奈乃:「……何かおかしくないですか?」
八十方織間:「え……」
獅子堂奈乃:「先輩。人語を発してください」
八十方織間:「……」
八十方織間:目を閉じ、自分の心臓を抑え込むように胸板を抑えて、静かに息を吐き
八十方織間:目を開く。落ち着いた目だ 「やはり何か、あったんだな?」
獅子堂奈乃:「……ええ。恐らく」
獅子堂奈乃:「レネゲイド由来の……衝動が、活発化しているように感じます」
獅子堂奈乃:「時間的には……ええと」思い出すように
八十方織間:「……雨が降ってから?」
獅子堂奈乃:「はい。……いえ、より正確に言えば」
獅子堂奈乃:「あの少年と接触してから……でしょうか」
獅子堂奈乃:「何も無ければこんな風に人前で先輩と接触したりしません。乙女ですので」
八十方織間:口元を手で抑え 「……タイミングはそこか。彼だな」
八十方織間:「それは」 「……分かった。今後そういうことがあれば、それは異常事態と」
八十方織間:「認識できるようにしよう」 頷く
獅子堂奈乃:「……いや今後は分かりませんけど……」小声
八十方織間:「? 何か言ったか?」
獅子堂奈乃:「いえ。豪雨のタイミングも不自然でした。あの少年を調べてみる必要があるかと」
獅子堂奈乃:「このままだと、極めて危険に思います」
八十方織間:立ち上がる 「ああ。さっきの彼を探そう。屋根のある方に行け……と俺は行ったが」
八十方織間:「獅子堂の感じた通り、人の衝動を喚起するとなると、確かに放置するのはまずいな……」
獅子堂奈乃:「ええ……まずいです」
獅子堂奈乃:「このままだと先輩を滅茶苦茶にしかねません」
八十方織間:「ぞっとしないな」 苦笑する。破壊的な方向性の滅茶苦茶を想像しているのだ 「俺もだ。……獅子堂」
獅子堂奈乃:「はい」
八十方織間:「俺がまずいことをしようとしたら、攻撃してでも止めてくれ」
獅子堂奈乃:「まずいこと、というのは?」
八十方織間:「……」 少し口を噤むが、すぐに話す 「俺の衝動は一般的に、吸血衝動とカテゴライズされるものだ」
八十方織間:「この数年、発露させたことはない。……戦闘中なら問題ないんだ。俺自身の高揚である程度誤魔化せる」
獅子堂奈乃:「……平時には?」
八十方織間:「文字通りだ。人の血肉が欲しくてたまらなくなる。……もちろん、それを制御する訓練も受けてはいるが」
八十方織間:「正気を失ったら、まさしく犬のように食いつきかねん」 自嘲するように 「その時は止めてくれ」
獅子堂奈乃:「ふむ……」唇に指を当てて「分かりました。時と場合によっては」
八十方織間:「常にだ」 念押しして、歩き始める

GM:シーンカット!

ミドル2


GM:情報判定に移ります。
GM:FH判定で、使用技能:≪情報:UGN≫ ≪情報:噂話≫。
GM:難易度:6 最大達成値:9点 目標進行値:4 で、ございます。
八十方織間:《情報:UGN》。コネ:UGN幹部を使用します
八十方織間:3dx+2
DoubleCross : (3R10+2[10]) → 10[7,9,10]+7[7]+2 → 19

八十方織間:無駄に回って! 9!
GM:お見事です
GM:以下の情報を開示します。

レゲネイドビーイング:識別コード:シルフ
少年の形をした嵐のレゲネイドビーイング。力は不安定極まりなく、写し与える、ことによって緩和され安定する。
今日は輸送中に脱走したところを見失ったようだ。
今は、人気のないプライベートビーチで、自分の能力を押さえている。



GM:解決のため、二人は少年を探している。
GM:通り雨のように不確かで、見つからないが...。
GM:数多の事件を解決してきた二人なら、見つけることが出来るだろう。
八十方織間:「……発生した事象を整理すれば」
八十方織間:「雨だ。雨が降っている方角に行けば間違いはない。そして、徒歩での移動なら、そこまで長い距離も移動しないだろう」
八十方織間:という訳でそういう方針で捜索しますね
獅子堂奈乃:「支部に確認取れました。資料回しますね」
獅子堂奈乃:先輩に輸送中の脱走事案についてデータを送る。
八十方織間:確認する 「……レネゲイドビーイングか。これで確定だろうな」
獅子堂奈乃:「そうですね」タブレットを覗き込む。いやに距離が近い。
八十方織間:「……」 平静を装えるよう努めつつ 「あとは降雨の発生していそうな方向を探せば良い」
獅子堂奈乃:「……」手袋を先輩の首筋に這わせる。
獅子堂奈乃:「あちらの方」そのまま顎を撫でながら
八十方織間:「……っ!」 びくりと身を震わせ、後輩を見下ろし
獅子堂奈乃:「雲の動きがおかしいですね。風向きと違います」
八十方織間:「そう……そうだな……」 声が切羽詰まっている
八十方織間:もちろん『あちらの方』は見ていない。後輩を見ている
獅子堂奈乃:「……? 先輩?」怪訝な顔でそちらを見て
獅子堂奈乃:「……」手を離す。
八十方織間:「あっ、いや」
獅子堂奈乃:「……失礼しました。つい」
八十方織間:表情を引き締め 「分かってる。大丈夫だ」
八十方織間:「あっちだな」
シルフ:「...は、はわわ...」
獅子堂奈乃:「ええ。行きましょう」言いながら、やけに密着して歩き出す。
シルフ:耳まで真っ赤にして。指の隙間から見ている。
シルフ:先ほどのまでの行為を見ていたようだ。
八十方織間:「……いたぞ。あれだ。こっちを見ている」
シルフ:ぽつ、ぽつ、と雨が降り出す。
シルフ:「みみ、みてませんから」
シルフ:「だっだいじょうぶですから」
獅子堂奈乃:「そこの貴方」
シルフ:「ひゃっ」
獅子堂奈乃:「貴方の能力は不安定な状態にあります。今すぐUGNに戻ってください」
シルフ:「ぼ、ぼく...?
シルフ:「.......」
シルフ:「あんまり、すきじゃないんです」
シルフ:「狭いし、つまんないし」
シルフ:「...もどりたくない...」
八十方織間:「気持ちは分かるが」
八十方織間:「制御されていない能力の持ち主を放置することは、周囲にとって危険でな」
シルフ:「は、はわ...」
シルフ:後ずさる。
八十方織間:前へ出る 「戻ってくれないか。それで、能力が制御できるようになれば良い」
獅子堂奈乃:「ええ。手荒なことはしたくありません。大人しく一緒に来てください」
シルフ:「うぅう...」
シルフ:脱兎のごとく、走り出した!
八十方織間:同じく走り出す。体格はこちらの方が上。アスリートのような速さではないが
八十方織間:常から鍛えているオーヴァードの身体能力に、そうそう勝てる者はいない。そのまま確保にかかる
獅子堂奈乃:「……先輩!」獣の牙のような魔眼を展開し、少年の行く手を塞ぐ。
シルフ:「あわわわ...!」
シルフ:ふっと光ったと思うと、雷鳴!
シルフ:至近距離で落ち、一瞬だけ二人の動きを封じる。
八十方織間:「うおっ……!」 足が止まる
シルフ:八十方に触れたと思うと、そのまま。
シルフ:雨雲と一緒に、過ぎ去ってしまうのだった。
獅子堂奈乃:「っ……先輩、大丈夫ですか」
八十方織間:「ッチ……まさか落雷までとはな」
獅子堂奈乃:「発電能力も……ん……?」気付けば、先程まで心身を苛んでいた衝動の昂ぶりが、嘘のように消え失せている。
八十方織間:「しかも意図した制御だ。……確保ではなく、戦闘で力を奪う必要がある」
獅子堂奈乃:「しかし、ひとつ僥倖です。こちらへの影響は失われたようです」
八十方織間:「影響……」
獅子堂奈乃:「良かったです。先輩にあんな事やこんな事をする前に抑えられて」
八十方織間:返事をするその声が、どことなく茫洋としている
獅子堂奈乃:「……先輩?」
八十方織間:「……ああ、衝動のことか。なら良かった」
獅子堂奈乃:「そうですよ……大丈夫ですか?」駆け寄って。
獅子堂奈乃:「受けましたか?先程の落雷」
八十方織間:「いや。ただ少し、頭が……ぼんやりしている。いきなり身体を動かしたからか」
八十方織間:言いつつ後輩を振り返って、その視線が一点で止まる。白い首筋。
獅子堂奈乃:「少し休みましょうか。あの様子ならすぐに遠くには……」
八十方織間:「…………」 ごくりと喉が震えて
獅子堂奈乃:小首を傾げる。「先輩?」
八十方織間:「いや」
八十方織間:「済まん、少し」
八十方織間:どうにか視線を切り、自分の親指を噛む。今までに見せたことのない動作だ
八十方織間:荒っぽく赤い噛み跡が指に残る。わずかに血を滲ませて、一息
獅子堂奈乃:「……」その様子を見て。
八十方織間:「……大丈夫。大丈夫だ。済まん。予想していた事態だ」
獅子堂奈乃:「受けたんですね?能力」
八十方織間:「こっちに来ている。さっき接触された。……移るんだな、衝動が」
獅子堂奈乃:「……吸血衝動、でしたね」
八十方織間:喋りながら、合間合間で指を噛んでいる
獅子堂奈乃:「……先輩。指がぼろぼろになってしまいますよ」
八十方織間:「そうだ。……すぐ落ち着く。これである程度は誤魔化せる」
八十方織間:「良いんだ。どうせすぐに治る」 できるだけ後輩の方を見ないようにしつつ
獅子堂奈乃:「……」少し悩んでその横顔を見つめて。
八十方織間:「……さっき、お前を咬みたいと思ってしまった」
八十方織間:「それよりは良い。だからどうにか、あいつを見つけて、早く捕まえよう」
獅子堂奈乃:「いつになく大胆ですね」
獅子堂奈乃:「咬みますか?一口」
八十方織間:ぐるり、と目を彼女へ向ける。いつもよりも落ち着きがない。瞳孔が大きくなっている
八十方織間:「……よせ、獅子堂」
八十方織間:「俺が一番恐ろしいのは、お前を傷付けることだ」
八十方織間:「俺自身の手で、大事なものを損なう。これほど嫌なことはない」
獅子堂奈乃:「……」息を吐く。
獅子堂奈乃:「あのですね。私はこれでも、こういう時にふざけてこんな事を言う女ではありませんよ」
八十方織間:「だが……」
獅子堂奈乃:「私は“対抗種”ですから。少し体内に取り入れれば、レネゲイドごとある程度衝動が抑制されるのではないかというお話です」
獅子堂奈乃:「先輩も私も痛いでしょうが。しかし、まあ」
獅子堂奈乃:「いきなり我慢できなくなって、首筋に噛みつかれるよりは、幾分かマシなのではないかと」
獅子堂奈乃:視線を見透かしたように言う。
八十方織間:「……済まん。正直、それを全力で、否定も、拒絶もできない」
八十方織間:噛んだ親指は赤くなっているが、更に奥に見えるのは、機械の部品だ
八十方織間:「代謝液も血のようなものだと思ったが、駄目だな。衝動は誤魔化しが利かない」
八十方織間:獅子堂へ一歩歩み寄る
獅子堂奈乃:「別に、構いませんよ」
八十方織間:「分かりやすいし目立たないのは、指……なんだが」
八十方織間:「獅子堂だとそうは行かないか。……何処だ。目立たず隠しやすい所は」
獅子堂奈乃:「……それはちょっと」黒手袋に目を落とし。「そうですねえ……」
獅子堂奈乃:露出の高い水着でくるりと回って、自分の身体を見て。
獅子堂奈乃:「……どこがいいですか?」
八十方織間:困ったように笑う 「俺がどこを見ていたか」
八十方織間:「分かってるんじゃないのか。そんな俺に聞くのか?」
獅子堂奈乃:「おや、意地の悪い質問でしたか?そうですね。それじゃあ」
獅子堂奈乃:こてん、と首を倒して。噛みやすいように。
獅子堂奈乃:「優しくしてくださいね」
八十方織間:はあっ、と溜息のような吐息が漏れる その誘いを拒む言葉はもう出ない
八十方織間:その頭を抱くように手を回し、身体を慎重に近づける。首筋に顔が近付く。熱のこもった吐息が吹きかかる
獅子堂奈乃:「……」目を閉じて、身を委ねる。
八十方織間:後ろ髪を軽く掻き上げて、首筋の、後方。普段なら髪でどうにか隠れる場所まで、最後の理性で口を寄せて
八十方織間:歯を立てる。ぎざぎざとした歯が、最初は甘く。だが次第に力がこめられていく。
獅子堂奈乃:「……ん、っ……」痛みに声と吐息が漏れる。
八十方織間:吸血、と言っても、本物の血がなければ収まらない訳ではない。
八十方織間:噛んだ箇所に滲む汗、皮膚、目に見えない微量の細胞液。
八十方織間:そういったものが、かろうじて八十方の口に入り、唾液と混じって喉へと落ちていく。
八十方織間:やがて力は抜け、痛みは引いて
八十方織間:「獅子、堂……」 熱っぽい声で彼女の名前を漏らし、顔を離す
獅子堂奈乃:「……」紅潮した顔で、目は合わせずに。「……満足しました?」
八十方織間:ゆっくりと、荒い息をしながら、それでも先ほどよりは落ち着いた様子で、後輩を見る
八十方織間:「……ああ。だいぶ楽になった。頭も働いてる」
八十方織間:「ただ、少し待ってくれ」
獅子堂奈乃:「それは良かっ…… ……何でしょう」
八十方織間:一旦は離れたが、もう一度獅子堂の頭に手を回す。後ろ髪を掻き上げて
八十方織間:噛んだ箇所をそっとタオルで拭く 「……本当に済まん。その」
八十方織間:「かなり、色々な意味で」
獅子堂奈乃:「……別に、謝ってほしくないです」
八十方織間:「それは……」 また謝りかけ、口を閉じる
獅子堂奈乃:「もっと他に、言うべきことがあるでしょう」
八十方織間:「それは……ええと……」
八十方織間:動揺している 「……な、何だ。俺はもう、謝るしかないと思ってたんだが……」
獅子堂奈乃:「……」自分で考えろ、というように片目を瞑って見つめる。
八十方織間:「……」 目を閉じて、僅かに呻くような声を漏らしつつ考え、考えて
八十方織間:「……協力、ありがとう……」
八十方織間:「……か……?」 まったく自信なさげに言う
獅子堂奈乃:「……」
獅子堂奈乃:不服げな目を向けて。
獅子堂奈乃:「まっったく味気の無い言い方ですが……」
獅子堂奈乃:「いいです。先輩にそういうことを期待した私が愚かでした」
獅子堂奈乃:「良しということにします。行きましょう、先輩」
八十方織間:「済まん、勘弁してくれ……後でちゃんと、その……埋め合わせる。必ず」
八十方織間:頷き 「行こう。今度は油断ない。確実に捕える」
獅子堂奈乃:「急ぎましょう。遊ぶ時間が無くなってしまいます」

クライマックス


八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+7(1d10->7)(侵蝕率:53->60)
獅子堂奈乃:獅子堂奈乃の侵蝕率を+7(1D10->7)した(侵蝕率:52->59)
GM:雨雲を追いかけたあなたたちは、とうとう
GM:人気のないプライベートビーチに、少年をみつけることだろう。
シルフ:「...あ」
シルフ:「みつかっちゃった」
獅子堂奈乃:「改めて聞きますが」
獅子堂奈乃:「こちらの先輩の欲望の抑えが効かなくなる前に、大人しく投降する気はありませんか?」
シルフ:「.......」
シルフ:「ぼくもね、こうしないと」
シルフ:「衝動、おさまらないんだ」
シルフ:「...ごめんなさい」
八十方織間:「……俺のことは別に良い。いや、良くはないが」
八十方織間:「結局は誰かに衝動を押し付け合うレースをしなければならないというなら」
八十方織間:「やはりこれは君の問題だ。酷なことを言っているのは承知の上」
シルフ:「......。」
八十方織間:「待遇に不満があるというなら俺たちの方からも伝えよう。それで収まりがつかないなら」
八十方織間:「その『衝動』を発散して、大人しくしてもらうしかない」
シルフ:「...わかった」
シルフ:「...ちからをかして、”シルフ”」
シルフ:風が凪ぐ。
シルフ:それはだんだんと、強くなる。
シルフ:波は高くなり、草木が揺れる。
シルフ:「あ、まって、こんなにつよくなくていいの!」
シルフ:立ち込める暗雲。
シルフ:暗くなり、一瞬、光ったと思えば。
シルフ:「......」
シルフ:ただ、うつろな目のひとのかたちをした嵐がひとつ。
獅子堂奈乃:「……UGNの保護下にあって、待遇に不満……他者に押し付けなければ安定しないほどの衝動……」
獅子堂奈乃:「成程、かなりコントロールに難があるようですね」
八十方織間:「天候干渉ほどの規模のものを封じ込めるとなると、ほとんど幽閉に近い状態だろう」
八十方織間:「レネゲイドビーイングならなおさら、そういう目には遭いやすい。……さて」
八十方織間:拳を握り、肩を回す 「出し切ってもらうか」
獅子堂奈乃:「先輩も大概お人好しですよねえ」嘆息し、展開した魔眼が周囲を旋回する。
八十方織間:「これが最善だと思っただけだ」
GM:戦闘を開始します。

▼エンゲージ
(シルフ[10])
   5m
(八十方織間[3]、獅子堂奈乃[9])
[]内は行動値

GM:エンゲージ! お二人の5m先にシルフはいます。
GM:セットアップ!
GM:...の前に!
GM:≪ワンナイトフィーバー≫
GM:衝動判定の際、侵蝕率を100まで引き上げることが出来ます。これは拒否可能、戦闘終了後侵蝕は低下します。
獅子堂奈乃:衝動判定します~
獅子堂奈乃:5DX+1>=9
DoubleCross : (5R10+1[10]>=9) → 9[1,5,6,8,9]+1 → 10 → 成功

GM:難易度は...5!
獅子堂奈乃:あっ5か とにかく効果受けて侵蝕100に
八十方織間:2dx=>5
DoubleCross : (2R10[10]>=5) → 7[4,7] → 7 → 成功

八十方織間:本来は+1だけど、どもかく珍しく成功。侵蝕率は100に!
GM:では改めまして。
GM:セットアップ!
獅子堂奈乃:≪原初の黒:雷神の降臨≫行動値0に
獅子堂奈乃:獅子堂奈乃の侵蝕率を+9した(侵蝕率:100->109)
八十方織間:《ロケッティア》 行動値が0になります
八十方織間:八十方織間の侵蝕率を+4(侵蝕率:100->104)
GM:≪加速装置≫ 行動値+8

▼エンゲージ
(シルフ[18])
   5m
(八十方織間[0]、獅子堂奈乃[9])
[]内は行動値

シルフ:イニシアティブ。
八十方織間:特に割り込みなければ《異形の転身》
八十方織間:5m前進してシルフのエンゲージへ入ります。

▼エンゲージ
(八十方織間[0]、シルフ[18])
   5m
(獅子堂奈乃[9])
[]内は行動値

シルフ:マイナー!
シルフ:インプラントミサイル破壊 攻撃力+12
シルフ:メジャー
シルフ:≪コンセントレイト:オルクス≫+≪空間歪曲射撃≫+≪要の陣形≫+≪アームズリンク≫+≪雷光撃≫+≪MAXボルテージ≫
シルフ:対象は...お二人!
シルフ:10DX7
DoubleCross : (10R10[7]) → 10[1,1,2,5,5,5,6,7,8,8]+10[6,8,9]+4[2,4] → 24

八十方織間:あらあら
獅子堂奈乃:≪迎撃する魔眼≫
八十方織間:《復讐の刃》。リアクション放棄して反撃します。
獅子堂奈乃:リアクション放棄して反撃します
シルフ:ヒエーッ
獅子堂奈乃:獅子堂奈乃の侵蝕率を+7した(侵蝕率:109->116)
シルフ:と、とりあえずダメージ出しますね
シルフ:3d10+20+12
DoubleCross : (3D10+20+12) → 21[3,8,10]+20+12 → 53

八十方織間:うむ、それは倒れますね。支部長のロイスをタイタスにして昇華、復活
獅子堂奈乃:HP0、シルフに 尽力/〇憐憫 でロイス取得、昇華して復活
八十方織間:《復讐の刃》入ります。素手で攻撃
八十方織間:10dx7+3
DoubleCross : (10R10+3[7]) → 10[1,1,2,3,3,4,7,8,10,10]+10[2,6,6,8]+10[8]+6[6]+3 → 39

八十方織間:4d10+13
DoubleCross : (4D10+13) → 23[2,10,9,2]+13 → 36

八十方織間:装甲有効!
獅子堂奈乃:≪黒の鉄槌≫で反撃します
獅子堂奈乃:8DX8+2
DoubleCross : (8R10+2[8]) → 10[2,3,5,5,6,8,8,10]+10[3,7,9]+10[10]+5[5]+2 → 37

獅子堂奈乃:4D10+14+25
DoubleCross : (4D10+14+25) → 25[4,8,8,5]+14+25 → 64

獅子堂奈乃:装甲有効です
シルフ:が、ガード!
八十方織間:リアクションはできないんですねえ
シルフ:うわーっ
獅子堂奈乃:すいませんねえ
シルフ:死!
シルフ:RTAか?
獅子堂奈乃:マジかよ
獅子堂奈乃:こいつら最悪
シルフ:WR
シルフ: 
シルフ:大気が乱れる。
シルフ:空中に電気が流れ始め...
シルフ:「....」
シルフ:ふっと、上げた手が降ろされる。
シルフ:それは雷。
シルフ:誘導性を持った、人を打倒すための雷だ。
八十方織間:「やはり攻撃をしようと思うと、あれか」
獅子堂奈乃:「危険極まりないですねえ」
八十方織間:「分かりやすい」 足場が悪いはずの砂浜を、じぐざぐに駆ける。攻撃の予測ができないように。可能な限り数の雷を落とさせるように
獅子堂奈乃:獅子堂への敵意に反応し、無数の魔眼が群狼めいて殺到、宙を泳いでシルフに迫り
獅子堂奈乃:見えざる獣が大顎で喰らい付いたように、その身体に魔眼が突き立てられ、動きを封じる。
シルフ:「...!」
獅子堂奈乃:「先輩、お手柔らかに」
八十方織間:その隙を見逃さない。砂を蹴って一気に距離を詰めると、肩から激突する。
八十方織間:本来ならば身体が吹っ飛ぶそれだが、魔眼の拘束によってそうはならない。純粋な衝撃がその身を襲うだろう。
八十方織間:人体であれば衝撃は脳と肺に伝わり、震盪と呼吸停止によって意識を奪う。
八十方織間:レネゲイドビーイングでも、どちらかが再現されていればこれで十分のはずだ。
八十方織間:「……もう少し発散させてやってもとは思ったが」
シルフ:「...ぁ」
八十方織間:「なかなかのエネルギーだったし、範囲も分からんのでこれで打ち止めだ」
シルフ:ばつん、そのまま意識はほどけ...
八十方織間:意識を失うようなら、せめて身体を支えてやる
獅子堂奈乃:「……うぅん」珍しく困ったように笑う。「出し切ってもらうって言ってましたけど……」
シルフ:どさりと、抱えられる形で。
獅子堂奈乃:「早すぎましたかね」
八十方織間:「今から起こして第二、第三ラウンドとも行かないだろう」
獅子堂奈乃:「まあ、そうですね。彼の移送先の方に、何か発散できる施策がないか伝えてみますか」
八十方織間:ひょいと身体を抱えて 「聞く限り、やはり管理体制に問題がありそうだ。どこの部かは分からないが、苦言は届けてやらなければ」
獅子堂奈乃:端末で回収班を呼んで。「兎に角、これで落着ですね」
獅子堂奈乃:「天気もいいです。まだ遊べそうですね」
獅子堂奈乃:青く晴れ渡った空を目にして、笑みを見せる。
八十方織間:「ああ。思わぬ休暇になったが……まだ時間はあるだろう」
八十方織間:もう一度肩を回して 「で、結局何をやろうとしていたんだっけな……」 設営したシートとパラソルの元へ歩き始める
獅子堂奈乃:「泳ぐんですよ、先輩。せっかく海に来たんですから」軽やかな足取りでその後を追う。

GM:バックトラック!
GM:≪ワンナイトフィーバー≫ の効果で下がって...確定帰還!

エンディング

獅子堂奈乃:「うー……ん……」パラソルの下で大きく伸びをする。
獅子堂奈乃:“シルフ”の引き渡しを終え、二人はようやく本来の休暇を過ごし。
獅子堂奈乃:揃って遊び疲れた頃には、既に辺りは橙の夕陽に染まっていた。
獅子堂奈乃:遠く輝く水平線に、燃え盛るかのような赤い陽が沈んでいく。
獅子堂奈乃:「遊びましたねえ」
八十方織間:「ああ……遊んだな」
獅子堂奈乃:ペットボトルの炭酸飲料を口に運ぶ。少し砂っぽい。
八十方織間:"シルフ"の起こした雨により、人足が減ったのも幸いだった。幸い、というべきではないのだろうが、
八十方織間:事実として幸いだったのだから仕方ない。辺りにはもう、数えるほどしか人影はない。
八十方織間:「ここまで遊びで体を遊ぶのも久しぶりだった」
八十方織間:後輩の方を見る。水着にはさすがに見慣れた 「良い機会になった。改めてありがとう」
獅子堂奈乃:「いえ。お礼を言われることではありませんよ」
獅子堂奈乃:「先輩も言っていたはずですが?」
八十方織間:「そうだが。だからって、言いたくなったことを我慢するのも妙なことだ」
八十方織間:「本当に、こう休日に遊ぶということは久しくなかったからな……」
獅子堂奈乃:「まあ、でしたら有難く受け取っておきますよ」
獅子堂奈乃:「……」
獅子堂奈乃:「久しく、というからには、以前はあったのですね」
八十方織間:「俺だって友人と遊びに行くことはまれにある」
八十方織間:「しかしまあ、それでも海に行くということはない。以前来たのは、多分……"リカオンズ"の頃かな」
八十方織間:それは"崩落戦"て八十方を残し全滅した特殊戦闘部隊の名だ。
獅子堂奈乃:「……先輩、その頃の話、あまり聞かせてくれませんよね」
八十方織間:遠く沈む夕陽を眺める 「昔のことだからな」
八十方織間:「俺だって、お前の家の話だとか、子供の頃の話だとか、わざわざ聞かん」
八十方織間:「……聞きたいのか?」
獅子堂奈乃:「ええ、聞きたいです」
獅子堂奈乃:「だって、先輩にとって、大事なことでしょう」
獅子堂奈乃:「……それなら、知りたいです。私は」
八十方織間:「そうだな。俺にとっては家族のようなものだ」
八十方織間:「いわゆる血縁の家族の記憶というものはない。幼少期も、実験体のような扱いだった。UGN黎明期には珍しくもないことだが」
八十方織間:「その俺に人間性と言えるものを与えてくれたのが"リカオンズ"だ。自由な精神と、自制の精神。これを学んだ」
獅子堂奈乃:珍しく、真面目な顔で聞いている。
八十方織間:「俺の知識の限りではだが、本当の家族のような集団だったと思ってる。起床、食事、通学。遊びも訓練も、就寝まで共に過ごす仲間がいた」
八十方織間:「ま、独特な所もあったが……今でも俺の根っこにあるのは、あそこで過ごした期間だな」
獅子堂奈乃:「……いいですね。家族、ですか」
八十方織間:「ああいう温かい時間と空間を守るために俺は在る。それが俺の第一義だ」
八十方織間:後輩を振り向く 「……獅子堂は?」
獅子堂奈乃:「……私は……」少し迷いを見せて。
八十方織間:話さなくても良い、と言おうかと思ったが
八十方織間:黙って彼女を見る。自分は彼女に聞かせたのだから。
獅子堂奈乃:「……先輩とは、逆です。血縁としての家族はいましたが……」
獅子堂奈乃:「いい思い出は、あまり。獅子堂の家系は拡散以前から『そういう』血筋で……」
八十方織間:「……そうか」 当然、そういう家があるということも、知識としては知っている
獅子堂奈乃:「UGNにも多くチルドレンを送り出してます。関西では結構有名らしいですね。市内にも何人か家の者がいますよ」
八十方織間:頷く 「聞いたことはある」
獅子堂奈乃:「……まあ、そういう家なもので。才能が第一、オーヴァードでないものは碌な扱いを受けないような場所だったのですが」
獅子堂奈乃:「私は覚醒が遅くて。その時もそれ以降も、あまりいい思い出はありませんね」
八十方織間:「そうだったのか。……対抗種の体質面でも、苦労は多かっただろうな」
獅子堂奈乃:「ああ……まあ……」言葉を濁して。
獅子堂奈乃:「……」嫌な記憶を思い出したかのように、少し黙り込む。
八十方織間:それに対して、こちらも少し黙り込む。多分悪いことを言ったのだろうな、と思いはするのだが
八十方織間:それを口にはしない 「……なら」
八十方織間:「獅子堂は何のために戦ってる?」
八十方織間:口にして、わずかに苦笑する 「こんな場所でする話でもない気がするが」
八十方織間:「獅子堂の大事なことを知りたいのは、俺も同じだ」
獅子堂奈乃:「……何の為……ですか」
獅子堂奈乃:「……あまり、考えたこともなかったですね」
獅子堂奈乃:「例えば、そう。自分を含めた誰かの日常を守る、だとか」
獅子堂奈乃:「UGNとしての仕事にはやり甲斐と喜びを感じています。それは本当ですよ」
獅子堂奈乃:「……しかし、そうですね。そう言われてみれば……」
獅子堂奈乃:「……」先輩の顔を伺う。「あの」
八十方織間:「ん?」
八十方織間:普段よりも随分穏やかな表情で見返す
獅子堂奈乃:こちらは逆に、常の覇気が少し薄れた顔で。
獅子堂奈乃:「……暗い話になりますが。いいですか?」
八十方織間:「聞かせてくれ」
八十方織間:「獅子堂が話したいことなら」
獅子堂奈乃:「……」息を吐き。「……内緒です。先輩だけですからね」
八十方織間:「誰にも言わん」
獅子堂奈乃:「……」水平線を眺めながら、口を開く。
獅子堂奈乃:「……私、覚醒が遅かったと言いましたよね。その所為で、家でも殆ど居ないもののような扱いを受けていたのですが」
獅子堂奈乃:「でも、一人だけ仲の良い相手がいたんです。その子はオーヴァードでしたが、能力は微弱で、扱いは私と同じようなものでした」
八十方織間:「なるほど。立場の近い者同士、か」
獅子堂奈乃:「はい。いつもその子と一緒でした。お互い他に話す相手もいませんでしたからね」
獅子堂奈乃:「将来は一緒に家を出て、普通に暮らそうとよく話していたものです」
獅子堂奈乃:「……ですので、偶然ジャームに襲われた時も、二人一緒でした」
八十方織間:「ああ」 相槌を打ちながら聞いている
獅子堂奈乃:「その子が先に立ち向かったんです。ですが、まるで歯が立たず。私も死ぬと思った時に──」
獅子堂奈乃:「いきなり黒い獣が……クロが現れて。ジャームを貪り食ったんです。それが私の覚醒でした」
獅子堂奈乃:「……まあ、そこはどうでもいいんですよ。本題はここからでして」
八十方織間:「命の危機による覚醒か。……ああ。それで?」
獅子堂奈乃:「ジャームは倒されて、私も……」手袋に目を落とし。「重傷は負いましたが、生きていました」
八十方織間:つられて獅子堂の手を見るが、何も言わない
獅子堂奈乃:「ただ、友達は虫の息でした。リザレクトは働いていましたが、失血が多すぎて」
獅子堂奈乃:「すぐに救急車を呼んで……その時の私、何と言ったと思います?」自嘲気味な笑みを浮かべ。
八十方織間:「……何だ?」
獅子堂奈乃:「彼女とは血液型が同じだから、私の血を輸血してください、と」
八十方織間:「それは……」
獅子堂奈乃:目を伏せる。「……そう言ったんです。対抗種のことなど、何も知りませんでしたから」
八十方織間:その身に宿るのは対抗種のレネゲイドだ。日中、彼女が自分で言っていたことを思い出す。
八十方織間:「……それで、その友人は」
獅子堂奈乃:「……ご想像の通りです。あれは一生、忘れないと思います」
獅子堂奈乃:「まあ、そんな話です。だから、何の為に戦っているのか、と問われれば……」
八十方織間:「そうか……」 遠い目になる
獅子堂奈乃:「もしかしたら、罪滅ぼしなのかもしれませんね」
獅子堂奈乃:「……すいません。こんな話を聞かせてしまって」
八十方織間:首を振る 「聞かせて貰えて良かった」
八十方織間:「いや、何が良かったと言われると困るが……」
八十方織間:「お前の根っこが知れたのは良いことだと思う」
獅子堂奈乃:「……そうですか。それは……良かったです。先輩に知って頂けて」
八十方織間:そっと腕を伸ばし、後輩の頭を撫でる。優しく、どこか慰めるように。
獅子堂奈乃:「……」
獅子堂奈乃:されるがままに身を預ける。
獅子堂奈乃:「……今日」
獅子堂奈乃:「楽しかったですか?先輩」
八十方織間:「楽しかった」
獅子堂奈乃:「私もです」
八十方織間:「まあ、事件はあったが……身体も動かせたし、長い時間、こうして獅子堂と遊ぶというのも、ほとんど初めてだろうし」
八十方織間:「うん……まあ、そうだな……」 少し口ごもり
八十方織間:「……良いデートには」 「なったんじゃないか」
獅子堂奈乃:「ええ」笑って。「満足です」
獅子堂奈乃:「……あ、手、止めないでください」
八十方織間:「え。お、うむ」
八十方織間:止める気はなかったのだが、改めてそう言われると、逆に意識してしまう
八十方織間:どこか緊張した表情で、その頭を撫で続ける
獅子堂奈乃:「また遊びましょう、先輩。海じゃなくて、街でも、山でも……どこでもいいです」
獅子堂奈乃:「先輩がいれば、どこでも」
八十方織間:「そうだな。……正直」
八十方織間:「そういうのを俺は知らんので、お前を誘おうなんてとても思えないし、お前も俺と遊びたいなんて思わないだろうと思っていたんだが」
八十方織間:「今日は楽しかった。……なら、次も楽しくなる可能性は十分あるな」
獅子堂奈乃:「先輩はご自分を過少に評価しすぎです」
獅子堂奈乃:「私にとっての先輩の価値を、勝手に先輩が決めないでください」
八十方織間:「自制が性分なんだ。"リカオンズ"がなくなった後、周囲に合わせるのに苦労もあってな」
八十方織間:「だが、獅子堂がそう言うなら、もう少し高く見積もれるようにしよう」
獅子堂奈乃:「……私はですね、先輩」頭を撫でられながら。
獅子堂奈乃:「先輩にもう家族がいないのなら、自分がそうありたいと思っていますよ」
八十方織間:「家族か」 少し笑う 「気持ちは嬉しいが、普通とは少し違うかもしれないぞ」
獅子堂奈乃:「おや、段階を飛ばし過ぎましたか?」
獅子堂奈乃:「でしたら、順当に」
八十方織間:「"リカオンズ"の家族観は、こう距離が近いというか、アメリカンというか……」
獅子堂奈乃:「恋人から、でしょうか?」
八十方織間:「…………」
八十方織間:その単語が出ると、喋っていた口がそのままの形で止まる
獅子堂奈乃:「……どうしました?」
獅子堂奈乃:「何かおかしなことを言ったでしょうか」
八十方織間:「……いや」 こめかみを手で押さえて
八十方織間:「獅子堂こそ、何か……おかしなことを」
八十方織間:「言ってはいないか?」
八十方織間:頭を撫でていた手はもう止まっている
獅子堂奈乃:「手、止まってます」
八十方織間:「おっ」
八十方織間:「う」 また頭を撫で始める 先ほどまでより少し硬い
獅子堂奈乃:「何かおかしな点がありますか?」満足げに撫でられながら。
八十方織間:「……いや、だって今の言い方だと……」
八十方織間:「獅子堂が……俺の……」
八十方織間:「……」 口を噤む
獅子堂奈乃:「休日に二人で海に遊びに来た男女の話題としては、極めて順当なものに思われますが」
獅子堂奈乃:「客観的に見てどうです?」
八十方織間:「きゃ、きゃっかんてきに」
八十方織間:僅かに呻きつつ 「……それは、そうかもしれないが」
八十方織間:「俺は、その……獅子堂にそういう風には見られていないのかと」
獅子堂奈乃:「む」むっとした顔。
獅子堂奈乃:「先輩は、私が」
八十方織間:「いや、そう、つまり」 またこめかみを押さえる 「お前の言う通り、俺が俺を過小評価しているのかもしれないが……」
獅子堂奈乃:「何とも思っていない男性と二人きりで海に来るような、そういう女だと思われているのですか?」
八十方織間:「そっ……そうは言わないが」
八十方織間:「……いや、言ってることになるのか……済まん、だからその」
八十方織間:目をそらす 「分からん……だろ。そういう、じゃれつくようなのが」
八十方織間:「家族のような、異性とかじゃない、親愛の表現なのか。それとも異性として、こう……」
八十方織間:「……っ、好きだからなのか、とか」
獅子堂奈乃:「好きですよ」
八十方織間:「…………」 また頭を撫でる手が止まる。全身が硬直する
獅子堂奈乃:「……そう言ったら、どう思われます?」
八十方織間:「……今は、驚いている。いや、驚き……ではない」
獅子堂奈乃:「……手」
八十方織間:「ただ心臓がすごくて……体が熱い」
八十方織間:指摘され、また頭を撫で始める
獅子堂奈乃:「そうですか」
獅子堂奈乃:「先輩。私」
獅子堂奈乃:「告白するのは、男の子からのほうがいいです」
獅子堂奈乃:「ですので、まあ。今のはノーカウントにしてあげますから」
獅子堂奈乃:「待ってます」
八十方織間:「のっ」「ノーカウント」
八十方織間:「……」 目を覆うように押さえ 「……いや、分かる。分かった」
八十方織間:「待っ……てくれ。その、必ず」
八十方織間:「言うべきことを言う」
獅子堂奈乃:「先輩を待っていたら、おばあちゃんになってしまいそうですねえ」くすりと笑って。
獅子堂奈乃:「高校を卒業するまでにはお願いしますよ?」
八十方織間:「……そうはならない。大丈夫だ」
八十方織間:「必ず言う。……俺だって」
八十方織間:「獅子堂に離れて欲しくはない」
八十方織間:「その……他の相手ができたりとかで。……本当だ。これは」
獅子堂奈乃:「それなら、私が待ちくたびれる前に、急いでくださいね」
獅子堂奈乃:「楽しみに待ってます」
八十方織間:「ああ」
八十方織間:何とか頷いて、自分が撫でている彼女の顔をちらりと見て
八十方織間:「……気持ち良いか?」
獅子堂奈乃:「ええ」目を閉じて、先輩に寄りかかる。
獅子堂奈乃:「今はこれで、満足です」
八十方織間:その声。感触。重みから香りに至るまでそのすべて。
八十方織間:あまりに甘く、すぐにだって手を伸ばし、自らの腕に収めたくなるが
八十方織間:そうはしない。胸に一片の躊躇が残る限り、彼女がこれで満足だという、その言葉に甘えることにする。
八十方織間:今は、これで。


GM:一夜二人転 獅子堂奈乃と八十方織間の場合
GM:これにて終了となります。お疲れ様でした!
獅子堂奈乃:お疲れさまでした!
八十方織間:お疲れさまでした~!